排卵障害の症状と治療

不妊治療(原因や治療法)

排卵障害について

排卵障害はホルモンの分泌や卵胞、卵巣に異常があって正常な排卵が妨げられる状態のことをいいます。排卵障害の症状と治療について紹介していきます。
排卵障害の症状と治療

大部分を薬物療法で治せる

妊娠には排卵が必要不可欠ですが、この排卵がうまくいかないのが排卵障害と呼ばれる不妊原因で、卵管障害と並んで重要なものです。排卵には、まず卵胞が育ち、十分に成熟してから卵巣を飛び出すことが必要ですが、卵胞が育たなかったり、育っていても卵巣から飛び出せなかったりすると、排卵が起こりません。
排卵が起こらない原因はいろいろとありますが、その治療法は急速に進化して、現在ではほぼ確立した治療方法ができています。他の障害の治療と比べると、妊娠率もかなりよい成績を残していますし、治療の大部分を薬物療法で行うことができます。

排卵誘発剤の使用と効果

月経周期 グラフ不妊治療といえば、排卵誘発剤、とすぐに頭に浮かぶ人も多いと思います。しかし、効果もさることながら、女性のからだに大きな影響を与える排卵誘発剤について心配される方も多いので、以下で詳しく紹介していこうと思います。
排卵誘発剤とは、文字どおり排卵を起こすための薬です。排卵障害だけでなく、人工受精や体外受精など、排卵はあるがより多くの卵胞を成熟させたいという場合にも使用されます。しかし、排卵誘発剤を使って排卵が起こっても、その周期だけのことで、薬を使わなくても毎月きちんと排卵が続くようになるわけではありません。
生理周期のたびに薬を使用するため、費用と日数が相当かかってしまいます。なので、排卵誘発剤を用いた排卵治療を行うときには、排卵障害以外の他の不妊原因を除外して、きちんと解消してから治療を始める必要があります。
排卵誘発剤の種類

排卵誘発剤はどのようなときにどのような薬が用いられるのか、紹介していきます。

エストロゲン剤

卵巣から分泌されている代表的な女性ホルモンのひとつ、卵胞ホルモンのことで、機能性出血や黄体機能不全更年期障害の治療などに使用されます。
副作用としては、胃腸障害や頭重腺、血栓症(多くは静脈に血のかたまりができる病気) などがあります。

プロゲステロン(ゲスターゲン)剤

卵巣から分泌されているもうひとつの女性ホルモン、黄体ホルモンのことをいいます。一般に合成された黄体ホルモン剤をゲスターゲンと呼び、機能性出血や黄体機能不全、黄体ホルモンの投与で出血をみる第一度無月経などに使用されます。
副作用はエストロゲン剤と同じく胃腸障害や頭重感のほか、肝障害もみられます。

エストロゲン剤とゲスターゲン合剤

エストロゲンとプロゲステロンを組み合わせたものです。経口避妊や機能性出血に使用されます。服薬中は月経をみませんが、服薬終了後、2~4日後に月経がみられます。最近では、副作用はほとんどみられません。

クロミッド(クロミフェン)

化学的に合成されたホルモン系以外の内服薬です。排卵誘発や黄体機能不全の改善に効果があり、ほとんどのケースで排卵を起こすことのできる誘発剤として、現在もっとも広く使用されています。一方で、服用によって子宮内膜や頚管粘液の状態がわるくなるケースがあります。一般には、月経5日目より投与を開始します。症状の程度にもよりますが、1日1錠(50mg)~3錠を5日間服用し、ようすをみます。薬が効けば内服開始から2週間程度で排卵が起こります。
副作用としては、視力の異常がもっとも多くみられ、ほかに腹部の張りや痛みなどが現れることがあります。また、卵巣刺激症候群(OHSS)も問題です。しかし、多胎率は5%程度でそれほど高くありません。

セキソビド(シクロフェ二ル)

クロミッド同様、化学的に合成されたホルモン系以外の内服薬で、頚管粘液の分泌を促進したり、子宮内膜を厚くする効果があります。ただし、排卵誘発の効果は比較的弱く、初期治療などで使用されることが多い薬です。副作用はほとんどありませんが、まれに頭痛、めまい、消化器症状、肝障害、発疹などがみられ、OHSSの危険もあります。

ゴナドトロピン

非常に強い排卵誘発作用を有している薬です。注射薬として投与されると、直接卵巣を刺激します。クロミッドやセキソビドが無効だった第一度無月経や、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを投与するエストロゲン・ゲスターゲンテストで初めて反応する第ニ度無月経に使用されます。また、人工授精や体外受精、顕微授精などを行う際に使用されることもあります。一般に月経開始後3~5日目より、注射によって投与されますが、隔日投与が原則です。しかし、場合によっては連日投与されることもあります。
副作用としては、注射した部位の過敏症状や関節痛がみられます。重症な副作用例では、卵巣破裂脳梗塞(脳動脈が閉塞する)、呼吸困難肺水腫(血液中の液体成分が肺血管外にしみ出して肺にたまる)などの心配があります。また、クロミッドと同様にOHSSの危険もあります。

FSH製剤

卵胞刺激ホルモン(FSH)と同じ成分でつくられた薬です。FSHの代わりとして用いら
れ、ゴナドトロピン同様、クロミッドやセキソビドが無効だった第一度無月経や、エストロゲン・ゲスターゲンテストで初めて反応する第ニ度無月経に用いられますが、ゴナドトロピンと比べて卵巣がはれにくいという利点があります。一般には、月経開始後3~4日目から、隔日で5~8回投与します。FSHは、卵巣に作用して卵胞の発育を刺激し、少量の黄体化ホルモン(LH)との協力作用で卵胞を成熟させ、エストロゲンの分泌を促進させます。成熟した卵胞に対しては、大量のLHとの協力作用で排卵を引き起こします。排卵
誘発の場合には、LHの代わりにヒト繊毛性ゴナドトロピン(hCG)を投与します。
副作用は、注射した部位の過敏症状や関節痛がみられます。その他、悪心、頻尿、しびれ感、頭痛、浄腫(むくみ)、尿量の増加などがみられることもあります。

バーロデル(プロモクリプチン)

高プロラクチン血症の特効薬です。一般には、1日1錠(2.5g)を夕食後に服用し、月に一度血液中のプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)値を測定し、効果がみられない場合には、1日2錠、もしくは3錠まで増量して、2~3回に分けて食事直後に服用します。プロラクチン値が下がっても、薬の服用を中止するとすぐに上昇してしまうので、しばらくは服用を続ける必要があります。排卵が認められ、妊娠したら、投与を中止します。
排卵誘発率は約80%、妊娠率約70%と非常によい成績を残していますが、吐き気や嘔吐頭痛、身許、像怠感、めまい、ふらつきなどの副作用がしばしば現れるので、薬は少量から投与を開始して、必ず食事の直後に服用するなどの注意が必要です。
原因別排卵障害の治療

視床下部性無月径

月経はあるけれど排卵がない無排卵周期症と、月経がなくなってしまったときに、プロゲステロン剤を投与することで出血が起こる(いわゆる消退出血)第一度無月経があります。
その原因はさまざまで、精神的なストレスや神経性食欲不振症、体重減少性無月経、機能性高プロラクチン血症、薬剤の服用などの機能的な問題からてるものと、視床下部にできた腫瘍や、頚部外傷後などに起こる器賢貯な問題からくるものがあります。

脳下垂体性無月経

プロゲステロン剤の投与だけでは消退出血がみられずに、エストロゲンとプロゲステロンの両方を投与してはじめて出血が起こる無月経のことです。
脳の視床下部の機能低トによって、二次的に脳下垂体の機能が低下して起こるものがほとんどですが、卵巣に原因があることもあります。

卵巣機能低下

卵胞が成熟してくると増加するエストロゲンが増えないために、排卵が起こらなかったり、排卵までに時間がかかったりします。また、エストロゲンの分泌が不十分だと、子宮内膜が厚くならないために、排卵が起こって運よく受精したとしても、受精卵が着床できないばかりか、かりに着床したとしてもそれを維持できません。

黄体化未破裂卵胞(LUF)

通常、排卵が起こると、卵の飛び出したあとの卵胞は黄体化して、そこからプロゲステロンが分泌され、体温が二相性を示します。しかし、排卵が起こっていないのに、黄体が形成されてしまい(無排卵黄体)、そこから黄体化ホルモン(LH)が分泌されてしまうことがあります。そのために、排卵日を調べる市販薬の「LHサージ」で反応が出てしまったり、基礎体温が高温になって、あたかも排卵が起こったかのようにみえてしまうことがあります。

高プロラクチン血症

乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が脳の下垂体から多く分泌されている状態をいいます。プロラクチンは、もともと妊娠・出産後に増加するホルモンなので、これが多く分泌されると、からだが「妊娠した状態」と勘違いして、卵胞刺激ホルモン(FSH)黄体化ホルモン(LH)の分泌を抑制してしまい、そのために排卵障害が起こります。また、受精卵の着床にも影響するという考えもあります。
高プロラクチン血症には、普段は正常値なのに、ときどき分泌が増加してしまう「潜在性高プロラクチン血症」という症状もあります。

多囊胞性卵巣症候群(PCOS)

成熟した卵子が、卵胞の外に飛び出すことができない状態です。卵巣の外皮が厚く硬くなり、卵子がそれを破れなくなります。超音波検査で見ると、卵巣の中で成熟した卵胞がいくつも確認できます。粒がつながったようにも見えるために、「ネックレスサイン」と呼ばれます。そして、順次成長し続ける卵子がたくさんたまってしまうために、卵巣が大きくはれでいるのがわかります。
外に出られなかった卵胞は、そのまま閉鎖してしまいますが、その影響で生理周期が長くなったり、無排卵になるなどの排卵障害が起こります。また、男性ホルモンが増加するために多毛(鼻の下のうぶ毛やすね毛が濃くなる)になります。また、肥満もみられます。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

hMGhCG製剤の使用時に、卵巣が過剰な反応を起こして、急激な下腹部痛と悪心、嘔吐、腹水兆候など急性腹症のような症状を起こすことがあり、放置すると生命の危険もある疾患です。
多囊胞性卵巣に対する排卵誘発では、OHSSの発症率が高いともいわれているため、軽い症状でもみられたら、すぐに担当の医師に相談してください。

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