
不妊症とは?

不妊のパターンは3つある
男性の側に問題がある場合は無精子症や、精子の数が少なかったり( 乏精子症)、運動率( 精子無力症)が悪かったり、奇形が多かったりなど、原因は精子に限定されます。
それに対して、女性の側の原因は、無排卵、子宮の炎症や筋腫、子宮内膜の発育不全、卵管が狭い、精子との不適合などさまざまです。また、流産や早・死産を繰り返してしまう 不育症なども、受精卵が着床したあとの子宮内に問題がある、と考えられます。
出産年齢とともに不妊率も上昇傾向
30代後半になると卵巣機能が低下し始め、卵子の状態も悪くなるので妊娠率はぐっと低下します。
子宮筋腫や子宮内膜症など不妊の要因となる病気にかかる確率も高くなります。出産を考えるなら、早めに妊娠計画を立てたり、婦人科で検診を受けたりするといいでしょう。
多様化する不妊治療
原因不明の不妊が全体の約3割

段階的にステップアップ

不妊治療を始める際に、まずいちばん最初に医師が考えるのが、患者さんの年齢の問題です。年齢が高ければ、治療にそう時間をかけてもいられません。つまり、患者さんの年齢しだいで、治療の進んでいくペースに違いが出てくるということです。28歳以上の患者さんの場合には、なるべくペースアップしていく方法をとるようにしています。それよりも年齢の若い患者さんの場合は、比較的ゆっくりと治療を進めていきます。
しかし、若いからゆっくりやろう、というだけではありません。焦らずに治療を進められるメリットというものもまた大きいからです。第一ステップでは検査とタイミング指導など、第二ステップでは排卵刺激と人工授精など、そして第三ステップでは体外受精と顕微授精など、という具合に、治療の内容もステップアップいきますが、それと同時に治療にかかる費用と肉体的な負担が大きくなります。段階的にステップアップしていく治療の進め方は「経済的負担・肉体的負担が少ない」ということと、治療に対して患者さんが納得しながら次のステップに進めるというメリットがあります。
治療にかかる時間

不妊という病気は複雑でありながら治療法が少なく、なおかつ、夫婦関係のみならず、種々の人間関係を巻き込み、解消に時間が必要な病気です。ひとことで不妊症といっても、その原因も治療法も、人それぞれに違います。それぞれ異なる不妊原因を、数多くの検査を行いながら、まるで「からまった糸をほどく」ようにしてさぐっていきます。
不妊原因を解消後に妊娠へのチャレンジ
原因がわかると、今度はその原因のひとつひとつを治療していかなくてはなりません。すべての不妊原因が解消されてはじめて、妊娠へのチャレンジが始まります。しかし、ここからの道のりにもまだまだ時間がかかります。なんといっても、妊娠のチャンスは年に12回だけです。また、いったん治った病気でも、なかには再発してしまうものもあります。毎月、「月経の到来」というかたちで、答えをつきつけられる不妊治療は、患者さんやその家族にとって、ほんとうにつらいものであると思います。
経済的な問題

これらの治療には保険がきかず、先端医療であるために高額な費用が、自費診療になってしまいます。しかし、最近になって、ようやく地方自治体単位で補助金制度が設けられるようになりました。
月ごとの投薬にも、保険のきくものときかないものがあります。これには、投薬の回数や期間に保険の紆約があり、すべての投薬を保険適用にすることができないといった事情が理由にあります。また、病院によって保険診療の解釈に違いがあり、これが病院ごとの料金に格差が生じている原因になっています。
肉体的な問題
ほかにも、からだへの負担、という問題もあります。これはおもに、薬の副作用や検査時の痛みなどですが、なかには「こんな治療がいつまで続くのか」といった心埋的な負担も、治療の重い足かせとなります。
不妊症には心の問題、つまりストレスも大きな影響を及ぼすと考えられていますから、このような心の負担はできる限りなくして治療を受けていただきたいと思います。検査や治療時の痛みは、避けようがなくどうしようもありません。しかし、せめて薬はほかのものに替えてもらう、治療の期間はこまかく医師と相談していくなど、先の見通しも含めて、医師と連携していくことがたいせつです。
仕事と通院の調整

仕事と治療の両立については、まず主治医に相談してみましょう。そして、薬を何回分かまとめて処方してもらうとか、通院しなくても自分でできることは自分でするようにするとか、若干でも通院を減らすことができるよう、スケジューリングしてもらうとよいでしょう。
医師と夫婦、三位一体で不妊から妊娠へ!
いざ治療が始まると、大変なことばかりあるように思われるかもしれません。不妊の程度が軽いにしろ重いにしろ、「赤ちゃんがほしい!」という思いを持って、ぜひ不妊治療を乗りきってください。無理は禁物ですが、いっとき、継続してがんばることも必要です。いつの日か赤ちゃんをその手に抱くために、夫や妻、医師を信じてがんばって治療していきしょう。
